イノシシの有効活用を狙い、浅利観光(江津市浅利町)が「江の川Shishi(シシ)」のブランドを立ち上げ、シシ肉の加工販売を始めた。江津市内の食肉加工施設の運営を引き継ぎ、解体処理から加工品開発、直営レストランでのメニュー提供まで一貫して手掛けることを強みにブランド展開を進める。
桜江町の住民らで2004年から運営してきた加工販売拠点「猪加工販売センター」(同市桜江町大貫)が高齢化などを理由に事業継続が難しくなり、今年4月に浅利観光が承継した。江津市産豚肉「江津まる姫ポーク」の商品を展開しているノウハウを生かす。
運営するドライブイン「神楽の里・舞乃市」(同市後地町)のレストランで、デミグラスソースにスパイス4種類を効かせた「ハッシュドShishi」の定食(1320円)をメニュー化し、6月下旬に販売を開始。続けて加工品のつくだ煮(120グラム、702円)を発売した。冷凍精肉も販売し、舞乃市や猪加工販売センターの通販サイトなどで扱っている。
猟期(11~2月)に捕獲された個体は脂が乗り、うまみが強い。猪加工販売センターは昨年度、この期間で60頭分を加工した。
浅利観光は、脂が少なく赤身が多いため、廃棄されることが多かった駆除期(3~10月)の個体も有効活用するため、犬用ペットフードの開発に着手した。3年後には通年で200頭分の販売を目指す。植田智之常務(54)は「食べ方を提案する商品開発に取り組み、豚と並ぶ江津の二大ブランド肉に育てたい」と話した。 (村上栄太郎)