温泉津焼きで知られる大田市温泉津町温泉津の窯元と、温泉津やきものの里で20日、春のやきもの祭りが始まった。3軒の窯元が、登り窯で焼いた普段使いの食器や花器などを展示・即売し、来場者を楽しませている。21日も。
祭りの1週間前に約千点を焼いた。登り窯は温度調整が難しい半面、それぞれに色合いや風合いが微妙に異なる魅力がある。コップや皿、花瓶のほか、コーヒー用のミルク入れやサラダボウルなど、現代の暮らしに合わせた作品も多く並べた。アクセサリーや焼き菓子など飲食・物販も10店が出店し、来場者は地域のさまざまな産品に触れた。
登り窯の火入れの様子も見学に来たという出雲市高岡町の会社員、古後雅敏さん(53)は「同じものが二つとなく、どれもすてきで選べない」と話し、じっくりと品定めしていた。
温泉津焼きは1704年に始まり、温泉津港を通じて全国に積み出された。高温で焼くため割れにくいのが特徴。現在は普段、ガス窯を使うが、春秋のやきもの祭りでは、共同で登り窯を操業する。(勝部浩文)