展示されている本物の「文禄石州丁銀」(左)=古代出雲歴史博物館、出雲市大社町杵築東
展示されている本物の「文禄石州丁銀」(左)=古代出雲歴史博物館、出雲市大社町杵築東

 大田市の世界遺産・石見銀山遺跡が2日で登録14周年を迎えた。節目を記念し島根県立古代出雲歴史博物館(出雲市大社町杵築東)では、採掘された銀を使った丁銀3点を1日から展示している。石見銀山の歴史文化に触れてもらおうと他にも関連イベントが企画されている。
 古代出雲歴史博物館では8月2日まで、石州銀と記された1593年製造の「文禄石州丁銀」と、石見銀山を治めた戦国大名・毛利氏が幕府や朝廷に献上するために使ったとされる「御公用(ごくよう)丁銀」、毛利氏が支配した地域で流通していたとみられる「石州丁銀」を展示する。
 3点は長さ8・5~15・3センチ、幅3・8~4・6センチ、重さ98・5~201・6グラム。鏡で裏面も見えるようにしてあり、極めて貴重な資料を細部まで観察できる。
 いずれも館が所蔵し、普段は資料保護のため複製品を展示している。
 丁銀は、必要な分だけ切断して使われていたため、完全な形で残るものは珍しいという。伊藤大貴主任学芸員は「本物を見て価値を感じ、現地にも足を運んでもらいたい」と話した。
 観覧料は大人620円、大学生410円、小中高生200円。会期中の休館日は7月27日。中央ロビーで石見銀山遺跡の魅力や価値や最近の話題を紹介したパネルを掲示しているほか、11日には小学生限定で丁銀を模したストラップ作り教室を開催する。
 2日は、遺跡の公開坑道・龍源寺間歩や、世界遺産センター(ともに大田市大森町)のほか、近くの国指定重要文化財の熊谷家住宅、武家屋敷「旧河島家」が無料開放された。
(月森かな子)