アオリイカの当たり年とされる今シーズン。各エリアで連日釣果が出ており、今月2日にプロアングラーの上畠克久さん(47)=出雲市在住=と共に渡船で出雲市大社町宇龍の磯に渡った。大社エリアでは3キロ超えの超大型が釣れることが珍しくない。果たしてモンスター級の1杯に出合えるのか…。
今回、利用したのは中出渡船(出雲市大社町宇龍)。約20年前に上畠さんが「磯に渡ってエギングをしたい」と船頭さんに依頼したのがきっかけで、島根県で最初に渡船エギングを始めた業者という。
午前5時半の出船時間を待つ間、上畠さんは「今日は厳しいかもしれない」と苦笑いを浮かべた。前日時点で分かっていたが、風速が5~8メートル予報と強く、気温は15度前後と低め。潮位が低く、難易度の高い釣りになる状況が予想された。
渡ったのは「のろ」という磯。大型が狙え、周辺のポイントを含めて多数の3キロ超えが釣れた実績がある。水深は手前が4メートル、10メートル先は8メートル、さらにその先は約20メートルあり、藻はもちろん、変化に富んだ地形が特徴だ。
釣り場は風裏だったものの、横からの強風を受けた。風速は10メートル以上あるように感じられ、エギングを楽しむには最悪とも言える環境だった。
上畠さんのタックル
ロッド:EXRー83ドリフトチューン(自身がプロデュース)
リール:イグジストLT3000ノーマルギア
PEライン:0・5号
リーダー:1・75号
上畠さんは潮の層や動きを感じて釣るスタイルだ。ラインやリーダーは細めで、感度を重要視している。
釣りを開始して数十分。潮は見つからない。まず手前の藻場から攻めたが、イカが出てくる気配がなく、エギには毎投のごとく藻が付いて上がった。「潮が動いていないから今は藻が立っている状況。藻が釣れなくなれば潮が動いた合図になる」と上畠さん。日の光が当たり始めればイカの活性も上がると予想し、時折休憩を挟みながらその時を待った。

午前6時半ごろだった。一瞬の潮の動きを見逃さなかった上畠さんがボトム付近を丁寧に探り、当たりを捉えた。上がってきたのは重さ1キロとまずまずのサイズ。ほっとした表情が広がる。さらに日の光が当たり始めた午前8時ごろには狙い通り1杯を追加。ベイト(小魚)が浮き上がってきたため、上の層でエギをしゃくるとすぐに当たりがあったという。ほかのイカが追尾する姿も見られた。

ただ、この後は厳しい時間帯が続き、正午に納竿して帰港した。「本来は2杯目が釣れた時点で爆発しないといけない」と悔やんだが、釣果が出にくい条件下での2杯はプロだからこその結果だった。
(藤原康平)
=毎週木曜配信=
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<プロフィル>
うえはた・かつひさ 出雲市生まれ。釣り具メーカーCRONO(クロノ)のプロスタッフやUNITIKA(ユニチカ)のフィールドテスターなどを務める。アオリイカの自己ベスト(重量)は船釣りで4・2キロ、おか釣りで3・6キロ。47歳。