「大潮の後の中潮が狙い目。特に、上げからの下がり始めが釣れやすい」
プロアングラーの上畠克久さん(47)=出雲市在住=のアドバイスを受けて4月26日、記者は渡船を使って大社湾に浮かぶ小島にエントリーした。今シーズン初めてのエギング。不安と期待を抱えてエギをしゃくり、当たりを待った。
利用したのは大社エリアで渡船などを営む幕島(出雲市大社町日御碕)。駐車場に入れる午前3時45分に合わせて向かうと、既に多くの車が列を作っていた。約50人が同5時発の一番船に乗り、続々と希望のポイントへ渡った。

今回は初めてで場所が全く分からなかったため、スタッフに聞いて「地のかつら」という磯に上げてもらった。潮通しが良く、人気な場所という。優先権を使って磯の先端に立った3人の釣り人が次々と釣り上げる中、島の西側や南側で投げていた自分には全く反応がない。イカがいるであろう少し深くなった船道や藻場の間を探り続けたが、1時間半たっても当たりはなかった。
そんな時だった。「よければ前でやりませんか。せっかくなのでみんなで釣りましょう」。声をかけてくれたのは先端で釣り糸を垂らしていた一人の男性。言葉に甘えて少し投げた。ボトムでの当たりばかりらしく、フォールを長めに取りながら反応を待った。
しばらく時間がたち、「そろそろ場所を返さないと」と思っていた午前7時ごろだった。しゃくりを入れようとすると、エギが根に引っかかったのか糸が巻けない。ラインを引っ張って何とか外し、急いで回収しているとどっしりとした重みを感じた。

引くような感覚はなく、大きな海藻が付いているのだろうと思っていた。ただ、水面から上がってきたのはアオリイカ。しかもかなり良いサイズで計量すると1・76キロあった。恥ずかしいヒットシーンだったが、大満足だ。

その後はもともとの場所で粘り強く投げるも、当たりはない。潮の流れ方による違いが大きいと思うが、その場の常連に聞いたところ「地のかつらは先端はよく釣れるが、他はなかなか釣果が出ない」という。それでも満潮前の正午ごろに大型の群れが入ってきたのか島全体で釣れ始め、2投連続で1・42キロと1・20キロを釣り上げた。

当初の予定では上げの下がり始めになる午後2時過ぎからも頑張るつもりだったが、体力が限界に達し、午後1時に納竿して帰港した。この日は渡船利用者で計150杯の釣果があり、最大で3・4キロが釣れたという。他エリアも好調だったようで、上畠さんの言うように大潮の後の中潮はまさに当たり日だった。
(藤原康平)