並河萬里氏の作品を紹介する学芸員=出雲市斐川町神庭、荒神谷博物館
並河萬里氏の作品を紹介する学芸員=出雲市斐川町神庭、荒神谷博物館

 世界の歴史的遺産を撮影した写真家の故並河萬里氏が奈良を題材にした作品展が、出雲市斐川町神庭の荒神谷博物館ホールで開かれている。寺院や仏像をさまざまな角度で切り取った作品が古都の魅力を伝えている。入場無料。27日まで。

 並河氏の作品を所蔵するしまね文化振興財団(松江市殿町)の協力で博物館が企画。開催中の企画展で、出雲国風土記に記された出雲郡(いずものこおり)の中心地をテーマにしており、当時の日本の都である奈良をテーマにした作品を並べた。

 会場には縦1・2メートル、横90センチのパネルなど15点を展示。薬師寺の薬師如来坐像の台座を捉えた作品は、人でも鳥獣でもない14体の鬼人を切り取り、異文化の影響を色濃く感じさせる。東大寺正倉院や東大寺大仏殿と興福寺五重塔を収めた作品も目を引く。

 企画展(有料)にも並河氏が撮影した写真がある。しまね文化振興財団の生田司子学芸員(57)は「作品を通じ、世界の人や文化のつながりを感じてほしい」と話した。

(佐野卓矢)