新型コロナウイルスの感染防止に欠かせない布製マスクの備蓄に、障害者就労支援施設が一役買った。島根県が調達した5万枚は、県内32施設がフル稼働で製作して納品。施設関係者から「社会貢献することができ、施設利用者の自信につながった」との声が上がっている。
2013年4月に施行された障害者優先調達推進法に沿って、県は備蓄品の製作のほか、イベントスタッフが食べる弁当づくりや衣類の洗濯などを各施設に発注。新型コロナの影響が続いた20年度は布製マスクを中心に、物品調達額が前年度の349万円から大きく伸び、2940万円となった。全体額も1・6倍の6800万円だった。
社会福祉法人四ッ葉福祉会(青戸雄一理事長)が運営する授産センターよつば就労継続支援B型事業所(松江市打出町)では、昨年9月から布製マスクの製作を本格化。被服縫製部門の利用者4人が中心となって、今年2月末までに3570枚を納品した。
感染拡大前は堀川遊覧船の船頭が着用する法被づくりや、京都市内の観光名所で売るお守り袋の裁縫を手掛けていたが依頼がなくなり、昨年7~9月の売り上げは前年同期比30~40%減。そうした中でマスクの製作が始まり、10~12月はコロナ禍前の水準に回復した。
担当した施設利用者の田村千鶴子さん(64)は「忙しかったが日常が戻ってほしいという思いを込めて作った」と笑顔で話し、金山努所長は「利用者が使命感を持って取り組み、社会とのつながりを意識するきっかけになった」と振り返る。
県障がい福祉課の山〓(崎の大が立の下の横棒なし)裕子調整監は「マスクを確保できただけでなく、施設への支援にもつながったと思う。今後もさまざまな面で協力をお願いしたい」と話した。
(佐々木一全)














