大根島の固有種「イワタメクラチビゴミムシ」を紹介する小松貴さん=松江市八束町波入、八束公民館
大根島の固有種「イワタメクラチビゴミムシ」を紹介する小松貴さん=松江市八束町波入、八束公民館

 【松江】松江市八束町波入の八束公民館でこのほど、昆虫学者の小松貴さん(42)が大根島の地下のみに生息する甲虫をテーマに講演した。来場者は甲虫の不思議な世界について興味深く聞き入った。

 小松さんはNHK子ども科学電話相談の回答者として知られる。地面の下に積み重なる石や岩、砂利の隙間で暮らす生物を研究する。その一種に、地下での生息に特化した甲虫・メクラチビゴミムシがいる。国内で400種ほどが確認されているというが、大根島では固有種の「イワタメクラチビゴミムシ」が竜渓洞から見つかっている。

 小松さんは大根島固有種と近い特徴を持つ種が中国浙江省と、長崎県の対馬で発見されていることを紹介した。一説として、中国の大河・長江が氾濫した時、土壌にすんでいたメクラチビゴミムシが生きたまま流れ着き、大根島や対馬で生き永らえた可能性を指摘。「荒唐無稽のようだが、合理的な仮説」とロマンを語った。

 講演会は町民でつくる団体が大根島の魅力発信のために企画し、約20人が聞いた。(新藤正春)