江津邑智消防組合の江津消防署(資料)
江津邑智消防組合の江津消防署(資料)

 江津邑智消防組合の消防本部消防長と川本消防署長が、複数の男性職員に対し、少なくとも3件のパワハラを行っていたことが4日、組合関係者などへの取材で分かった。このうち消防長は裁判員に選ばれた職員に「自分の職責と立場を理解しているのか」と裁判出席後に叱ったほか、新型コロナに感染した職員を無視するなどしたという。組合は近く会見を開き、明らかにする。

 組合関係者などによると2022年12月、男性職員に対し、消防長が「なぜ新しい消防車が入る大切な時期に(裁判に)出るんだ。自分の職責と立場を理解しているのか」と叱った。当時、職員の所属先の課長だった川本消防署長も同席していながら黙認し、事前の業務配分や支援といった管理を怠り、精神的な苦痛を与えた。職員は事前に2人の了承を得て裁判員裁判に出席していた。

 また、消防長は23年6月、男性職員2人が土砂災害対応訓練の参加後に新型コロナに感染したことに怒り、職員を無視したり威圧したりした。県救助技術大会に出場した男性職員らを侮辱する言動もあった。

 被害を受けた職員の申し立てを受け、江津市及び江津邑智消防組合公平委員会は3件をパワハラと認定し同日、組合管理者の中村中江津市長に書面で伝えた。

 このほか川本消防署長は23年5月、交通事故検証会をウェブで行った際、大勢の前で男性職員の自尊心を傷つける言動を行ったという。職員は約1カ月後に依願退職。公平委は現役職員のみ申し立てを受け付けるため、この事案は対象外だが、事実を確認している。

 公平委の木村博紀委員長は「組織全体でパワハラが起きやすい状況にあった。慣習を変えないといけない」と述べ、追加調査の実施を求めた。

 組合は処分や追加調査を検討しており、管理者の中村市長は「被害を受けた職員に管理者として心からおわびする」と話した。(村上栄太郎)