安来節の一宇川流どじょうすくい踊り師範、野島優子さん(52)=松江市東出雲町揖屋=による講演が5日、浜田市弥栄町木都賀の杵束まちづくりセンターであった。近くの弥栄中学校の生徒ら約40人が、踊りの普及を通じ東日本大震災の被災地を訪れた経験談を聴いた。
埼玉県出身の野島さんは2008年に松江市にIターン後、安来節に魅了されて普及に尽力。岩手県の知人の紹介をきっかけに13年、被災地で安来節公演をした。
現地での公演後、観客の一人から「2年ぶりに笑った。こんなに笑うことなかった」と言われ、被害の深刻さを実感したと説明。被災地では東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の拡散で、根拠のないうわさや偏見が広まっていたと振り返り「風評被害を自分事として考えてほしい」と呼び掛けた。
3年の斎藤大輝さん(14)は「うわさやいじめは誰でも当てはまるので、日頃から気をつけたい」と話した。
講演は弥栄中が人権学習の一環で開いた。 (宮廻裕樹)