「やっと島根に帰ってきました!ただいまー!」。松江市出身のボーカルギター石原慎也さんが率いる、3人組ロックバンド「Saucy Dog(サウシードッグ)」が6月、島根県で初となるワンマンライブを松江B1(松江市寺町)で開催した。待ちわびた古里のファンは一気に盛り上がった。
【連載・SaucyDog 石原慎也 ぼくの原点】
1.アルバムのジャケット写真をここから Episode01 山陰合同銀行本店 展望フロア
2.高校時代のバンド結成秘話 Episode02 松江農林高校
3.代表曲「いつか」で描いた情景 Episode03 島根県立美術館
4.幼少期から馴染みの商店 Episode04 もうり商店
5.高校時代に通った地元の楽器店 Episode05 サウンドエース和田
6.別れた後も仲の良かった彼女と― ぼくの原点 Episode06 お好み焼 博多
7.「いつか」で書いた思い出の場所 ぼくの原点 Episode07 田和山の無人公園
8.高校2年で初ステージ ぼくの原点 Episode08 ライブスタジオB1
オープニングは柔らかくリズミカルな曲調の「結」で飾り、続いて舞台から青い光を放ちながら軽快に「シーグラス」が始まった。石原さんは曲の終わりに「島根ー!お待たせしましたー!」と手を振り、観客は〝おかえり〟の拍手で温かく応えた。
「帰省ツアー~メンバーのご当地頂きます~」と題した今回のライブは、文字通り、メンバーそれぞれの出身地を回る。当初は昨年5月に開催予定だったが、新型コロナウイルスの影響で2度延期。松江B1は石原さんにとって、音楽にのめり込むきっかけになったライブハウス。特別な思いでこの日の舞台に立った。
中盤は親子の愛情を歌う「週末グルーミー」から、「煙」「雷に打たれて」と続き、「ゴーストバス」「バンドワゴンに乗って」とアップテンポな曲でたたみかけた。最高潮の熱気の中、「めちゃめちゃ楽しい!」とメンバーは声をそろえ、観客との距離が近いライブハウスならではの雰囲気を楽しんだ。
アンコール1曲目はバンドを代表するバラード「いつか」。歌詞では「田和山の無人公園でさ」と、石原さんの母校近くの情景が歌い込まれ、切ないドラムコーラスとぬくもりあるベースラインがリアルさを醸し出した。最後は「グッバイ」。「やりたいことを何かのせいにしてできないと思っている人が、弱い自分と別れを告げられるよう」背中を押すように歌い上げた。
ドラムの、せとゆいかさんに「いつもよりトークがアットホームだったね」と言われた石原さんは、「やっぱりやりやすいわ」と目を細めた。そして「次は(島根)県民会館でかな」と無邪気な笑顔を見せ、ステージを後にした。 (大迫由佳理)