2019年、ワイン業界に衝撃が走った。日本ワインコンクールで本場の山梨を押しのけ、島根ワイナリー(出雲市大社町菱根)の「島根わいん縁結甲州」が金賞と部門最高賞を獲得した。立役者の一人が栽培指導課の藤原和彦課長(54)。「ワインの品質はブドウで8割決まる」と、雨量が多く栽培が難しい島根で長年、ブドウ作りに向き合い続けてきた。

 活動拠点は、船通山(島根県奥出雲町)の麓に広がる標高450メートルの自社農園横田ヴィンヤード。「最高のワインを造りたい」と県内各地の土壌、気象などあらゆるデータを調べ、選んだ最適地だ。2008年に栽培を始め、現在90アールで赤系のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、白系のシャルドネの三つを育てる。

 栽培の極意は「各成育ステージですべきことがあり、その期間内に終わらせること」だという。

 特に、品質に大きく影響する...