第63回米子市美術展覧会(市展)のデザイン部門で、市内の中学校を昨春卒業しペン画のプロを目指して創作を続ける中原悠月(ゆつき)さん(16)=米子市淀江町西原=が最優秀の市展賞に輝いた。コアラをモチーフに、毛並みの軟らかさを感じさせる繊細なペン遣いで空想の世界を描き、「励みになる」と喜ぶ。
若者の創作活動を後押ししようと昨年新設された部門で、昨年の2倍となる64点から選ばれた、作品のタイトルは「お星になったおじいちゃんと行きたかったオーストラリア」。コアラの周囲に架空の花々を配し、足元で寄り添うペンギンが見上げる構図で、太さ0・03ミリ~1ミリの油性ペンを使い分け、縦53センチ、横45・5センチのキャンバスに描いた。
見る人それぞれの感性で味わってもらおうと、あえてモノトーンにする作風も相まり、審査で「複雑さの中に心地よさを感じる。モチーフに託した視点、視座が興味深い」と評された。
市内の絵本作家玉井詞(つかさ)さんの教室で小学1年から中学生だった昨年まで腕を磨き、国内外の公募展やコンクールで表彰されてきた。中学卒業後は創作活動に専念。自宅で1日6時間以上キャンバスに向かう中、「パリで個展を開きたい」という夢へ、背中を押してくれる市展賞受賞だった。
市展は22日まで市美術館(米子市中町)で開催し、デザインを含め洋画、日本画、書道、写真、工芸、彫刻の力作325点が並ぶ。観覧無料。(吉川真人)