屋根葺き職人が使っていた道具を紹介する笠井今日子副主任学芸員=松江市殿町、松江歴史館
屋根葺き職人が使っていた道具を紹介する笠井今日子副主任学芸員=松江市殿町、松江歴史館

 島根半島の中央部に位置した秋鹿郡で江戸時代、屋根葺(ふ)きを生業にしていた職人の道具を紹介するミニ展示が、松江市殿町の松江歴史館で開かれている。出雲大社の修造遷宮で使われた金づちなど13点が並ぶ。7月28日まで。無料。

 現在の松江市秋鹿、大野地区、出雲市伊野地区で職人集団が生まれ、江戸時代後期には「秋鹿の檜皮(ひわだ)」と呼ばれるヒノキの皮で屋根を葺く技術が盛んになり、松江藩に利益をもたらした。職人は1949年から行われた出雲大社の遷宮の屋根葺き替えにも従事した。現在は伝統的な日本家屋の建築機会が減り職人はいなくなったが、職人が手がけた松江市の北殿町鼕(どう)保存会の鼕台の屋根は今も見ることができる。

 展示では屋根の材料の板を割る刃物「キワリ」やヒノキの皮を削る「檜皮包丁」をはじめ、板を止める竹くぎや金づちなどが並び、木材が丈夫な屋根になるまでの過程をたどることができる。

 笠井今日子副主任学芸員は「秋鹿郡の職人が江戸時代の松江藩の大事な産業を支えていた歴史を知ってほしい」と話した。月曜と7月16日は休館。15日は開館する。(小引久実)