短歌 寺井淳選

よみがえる遠足の日の白い靴十年ぶりに新車来る朝        雲 南 武田 常夫

  【評】新車納入の朝、ふと思い出す昔の遠足。新しい靴がわくわくをいっそうかきたてた。足のマメもなんのそので。靴で、車で、遠くまで行きましょう。

雨降りの飛行機旅を憂えるも雲の上にはまぶしい春陽       浜 田 大谷由美子

  【評】黒い雲の裏側の輝きを見よう、という古い歌があったように思う。もちろん、悲しいときのおまじないだろう。作者もまぶしい希望を見ている。

手には針耳はラジオのながら族コ...