津和野藩3代藩主亀井茲親が描いた「犬追物図巻」を紹介する角野広海主任学芸員=益田市有明町、島根県立石見美術館
津和野藩3代藩主亀井茲親が描いた「犬追物図巻」を紹介する角野広海主任学芸員=益田市有明町、島根県立石見美術館

 江戸時代の津和野藩のお抱え絵師や、本職顔負けの才能を発揮した藩主が描いた作品を並べた所蔵品展「津和野藩の絵師たち」が益田市有明町の島根県立石見美術館で開かれている。3代藩主・亀井茲親(これちか)(1669~1731年)が描いた「犬追物(いぬおうもの)図巻」(1692年)が目を引く。8月5日まで。

 「犬追物図巻」は、武士がたしなむ武芸の一つで馬上から犬を射る犬追物の様子を図解した全長約5メートルの絵巻物。装束の着方や馬上からの狙いの定め方が写実的に描かれている。

 担当した同館の角野広海主任学芸員(31)は「茲親は狩野派の絵師に絵を学んだ。疾駆する馬に躍動感が感じられ、弓を引く武士の動きも生き生きと描かれている」と説明する。

 茲親のほか、藩のお抱え絵師で「孔雀(くじゃく)の名手」と呼ばれた三浦紫畹(しえん)、幕末に活躍した山本琹谷(きんこく)ら8人の15点を展示した。

 角野主任学芸員は「江戸時代の津和野には、藩主を含め実力ある絵師がいたことを知ってほしい」と話している。

 午前9時半~午後6時(入館午後5時半まで)。毎週火曜日休館。観覧料は一般300円、大学生200円、高校生以下無料。
  (中山竜一)