島根県営出雲空港(出雲市斐川町沖洲)で、離発着ができる締め切り時間を1分オーバーして飛行機を離陸させたとして、県が日本航空(JAL)に対し、条例に基づき5万円の過料処分にした。県内の3空港でこうした処分は初めてという。
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処分は9日付けで、県が同日発表した。
県やJALによると問題となったのは4月16日、出雲発定刻午後7時25分、羽田行きの1便。羽田から来る使用機材が、羽田上空の混雑と航路の悪天候で遅れた。
さらに、出雲からの離陸前、管制上の理由で、羽田発出雲行き最終便の着陸を優先させた。このため離陸時間が、周辺民家への配慮を目的に条例で利用の締め切り時間となっている午後8時半より1分遅い同8時31分となった。
悪天候などやむを得ない理由で、航空会社が時間を延長して同空港を使用する場合、知事の許可が必要なる。JALによると、ルールに基づき、現地事務所から県空港管理事務所の担当者へ電話で時間延長の仮申請をしたが、「対応は難しい」と返されたという。
客が搭乗し、出発に向けて待機していたため、午後8時半までに安全に出発できると判断したが、結果的に1分遅れた。管制の離陸許可は得ていた。
一方、県空港整備室は空港の運用時間に関してJALから連絡があったことは認めたが、具体的な延長許可を求める依頼ではなかったと認識。「運用時間を越えての離陸は認めていない」と一般的な答えをした、としている。
県は、JALが無許可で離陸したとし、処分を決めた。行政上の金銭的な制裁である過料5万円は、条例で規定する罰則として最高額。
JALの広報担当者は「運航に関わる関係者に運用時間の理解、順守を徹底させるなど、再発防止策を取ることを県に報告した」と話した。
(高見維吹)