日御碕地区に設置されている家庭ごみの収集ボックス。現在は各家庭で保管している=出雲市大社町宇龍
日御碕地区に設置されている家庭ごみの収集ボックス。現在は各家庭で保管している=出雲市大社町宇龍

 記録的大雨で県道の一部が崩落し、孤立状態が続いている出雲市大社町日御碕地区では、家庭ごみとし尿処理が喫緊の課題となっている。収集車が入れず、地区外に持ち出す手段がない。住民は市に早急な対応を求めるが、まだ結論は出ておらず、住民からは衛生環境の悪化を懸念する声が強まっている。

 235世帯548人が暮らす同地区には生活ごみの収集所が約20カ所ある。市環境施設課によると、月曜と木曜が燃えるごみの回収日で、直近は道路崩落の前日の8日に実施した。本来の回収日だった11日に実施できておらず、今後の見通しも立たない。市は当面の間、各家庭で保管するよう呼びかけている。

 日御碕コミュニティセンターの園山暢男センター長は「暑い時期なので生ごみはすぐに嫌な臭いを出す。いつまでも自宅は保管できない」と不安がる。

 道路の崩落で車は通れないが、現場付近の私有地を歩いて迂回(うかい)するルートはある。市は船を使った海上経由の搬送や、住民に集落から約4キロ離れた崩落現場付近まで持ち込んでもらい、市街地側に回収車を待機させる案を検討している。

 し尿処理に関しては、地区内の128世帯が漁業集落排水(漁村の下水道)に接続している。直近の汚泥収集は5月に行い、許容量は今後、4~5カ月の余裕があるという。

 一方で残り世帯の多くはくみ取り式で、家庭ごとで使用量や収集時期は異なり、対応が急務だ。自宅がくみ取り式の50代男性は「春先に処理してもらったのでまだ大丈夫だが、タンクに余裕がない家庭はあるかもしれない」と案じる。

 市は船で収集車を地区内に入れる方法を軸に検討している。ただ、運送用の船の確保に時間を要する可能性もあり、くみ取り式の家庭に対し、公共トイレや近隣のトイレを利用するよう呼びかけることも考えている。市環境施設課の陶山健志課長は「なかなか簡単ではない。有効な方法を見いだしたい」と話した。

(白築昂)