65歳以上の高齢者の約75%が、少なくとも1回の新型コロナウイルスワクチン接種を受けたことが10日、政府の集計で分かった。大半が月末までに2回目も完了する見込み。菅義偉首相は8日の会見で「今月末には希望する高齢者への2回の接種は完了する見通しだ」と述べるなど、自ら掲げた目標の達成に自信を見せる。今後は64歳以下が中心となるが、各地で予約を制限する動きが出ており、安定して届けることが課題となる。

 政府集計によると、9日時点で高齢者3548万人の75・1%に当たる2665万人が1回目の接種を受けた。山陰両県は、島根が72・5%、鳥取が78・1%。医療従事者ら集計に反映されていない高齢者も多く、政府の担当者は「実際に接種した人数はさらに多い」とみる。

 広く使われている米ファイザー製ワクチンの接種間隔が3週間であることを考えると、現時点で1回接種を受けた人の大多数は月末までに2回目を終えるとみられる。

 都道府県別で1回目の接種率が高いのは岐阜(86・8%)、佐賀(85・0%)、山形(82・8%)の順。低いのは大阪(66・0%)、青森(66・4%)、北海道(66・8%)だった。

 国立感染症研究所の脇田隆字所長は「7~8割完了すれば順調」と一定の評価を示した上で「最もリスクが高いのは高齢者。会場に行くのが難しい人には往診で対応するなど、もう一工夫して接種率を9割ぐらいまで上げたい」と話す。

 菅首相は今後64歳以下を進め、10~11月に希望する全国民への接種を終えたい意向だが、供給ペースが落ちる見込みで、自治体では混乱も見られる。