短歌 寺井 淳選

口笛を長らく聞かずはるか遙かはるかおぼろに友のひと節     松 江 永原  知

  【評】「はるか」三度の繰り返しに、ウタとしての短歌の精髄がみえる。情におぼれる一歩手前で、遙かな友人を思う感慨が定着されているのも見事です。

一つ川三つの橋を縫い渡り通いし四中閉校をせり         江 津 三浦 秀和

  【評】一、三、四という数字をうまく用いて、しかも理が勝ち過ぎないように、母校である浜田第四中学校の閉校の感慨を述べる。「縫い渡り」が絶妙なのだ。

二分咲きを...