冠水する幹線道路=12日午後1時1分、雲南市三刀屋町三刀屋
冠水する幹線道路=12日午後1時1分、雲南市三刀屋町三刀屋
土砂で埋まった県道=12日午後0時11分、松江市美保関町北浦
土砂で埋まった県道=12日午後0時11分、松江市美保関町北浦
冠水する幹線道路=12日午後1時1分、雲南市三刀屋町三刀屋 土砂で埋まった県道=12日午後0時11分、松江市美保関町北浦

 7日から9日にかけて被害に見舞われたばかりの山陰地方を12日、猛烈な雨が容赦なく襲った。斐伊川水系の三刀屋川が流れる雲南市や神戸川上流の島根県飯南町で警戒レベル5の緊急安全確保が発令され、河川が氾濫して市街地に土砂が流れ込んだ。けが人は出なかったが、家屋浸水や停電、道路寸断など住民生活を直撃。梅雨末期に集中する自然災害の脅威をあらためて痛感させられた。

 

 気象レーダーによる解析で、午前10時までの1時間に約100ミリの猛烈な雨が降ったとみられる雲南市内では、10時40分に三刀屋川が氾濫危険水位(2・90メートル)を超え、一気に緊張が高まった。

 担当者が水門を閉じて排水作業を進めたが、支流の三谷川があふれ、国道54号や住宅地が茶色く濁った水に漬かった。

 自宅の床下まで水が迫り、友人宅に身を寄せた三刀屋町三刀屋の無職、田中英子さん(79)は「先週の豪雨が落ち着き、安心したところだった」と戸惑いを隠せない様子だ。近くの自営業、古林修さん(72)も「また起こるのではないか。常に用心しないといけない」と自宅前にたまった泥を懸命にかき出した。

 全域で警戒レベル4の「避難指示」が出た出雲市内では、7日に島根半島が襲われたのに対して今度は、南部で被害が拡大した。

 所原町桜谷地区では唯一の生活道路が冠水し、住民約10人が消防団のボートに乗って避難。家族で救助された主婦の伊藤千代子さん(83)は「見る見る増水して裏山も崩れ、風呂場や母屋が漬かった。土砂による漏電で電話が使えなくなり、連絡手段がなくて不安だった」と顔をこわばらせた。

 松江市美保関町北浦ではのり面が崩れ、巨岩が電線と木々を巻き込んで県道をふさいだ。市によると午後5時で、美保関町内の通行止めを含む道路被害は市内最多の12カ所に上った。

 北浦の近くにある菅浦では床下浸水17戸、土砂崩れ5件、自動車4台の浸水被害を確認。自治会区長を務める小林邦彦さん(69)は避難所近くの冠水を見て、土砂崩れの恐れがある住民に親戚の家へ避難するよう促した。「危険な場所は把握している。7日の大雨の後、一軒一軒回って声を掛けた」。集落の住民にけが人や具合が悪い人はおらず、事前の備えが的確な行動につながったと胸をなでおろした。 中国地方を襲った猛烈な雨で12日、島根、広島両県間の大動脈が寸断された。中国横断自動車道尾道松江線でのり面が崩落し、三次東ジャンクション(JCT、広島県三次市)|三刀屋木次インターチェンジ(IC、雲南市木次町下熊谷、60・4キロ)間の上下線が全面通行止めとなった。並行する国道54号は、広島県三次市布野町から雲南市三刀屋町までの約60キロのうち、複数箇所の崖崩れや冠水で、一部を除き不通となった。再開見通しは立っておらず、生活だけでなく、物流への影響も出そうだ。

 尾道松江線と国道54号は県境付近を平日1日平均8328台が走る(2015年度調査)。

 国土交通省は現時点で松江市から広島市方面へ向かう場合は、浜田市経由で中国横断自動車道広島浜田線を利用するなど、回り道を勧めている。

 早期再開へこぎ着けたい考えだが、尾道松江線は応急措置に一定の期間がかかる見通し。54号は被害の全容が分かっていない状態といい、13日以降も往来に影響が出るのは必至だ。

      (新藤正春)