
7月上旬、静まり返った松江市総合体育館で黙々とシュートを打ち続ける男の姿があった。「背番号21」のTシャツを身にまとった男の名前は納見悠仁(27)。バスケットボール男子Bリーグ1部(B1)・島根スサノオマジックに新加入したコンボガードのプレースタイルは、ウインターカップ3連覇といった輝かしい実績を残した学生時代に形成された。
(報道部・清山遼太)

納見の人生は、バスケットボール抜きには語れない。小学1年時、競技経験のある親や兄弟の影響を受け、地元・神奈川県のクラブチームで競技を始めた。何となく始めたものの、日々の練習でボールさばきが上達するにつれ、競技にのめり込んでいった。今思えば当時の経験がガードとしてのスタートだったのかもしれない。
納見の名が全国に知れ渡るようになったのは、強豪・明成高校(現・仙台大付属明成高)入学後。同級生の中には、現在、NBAのレーカーズで活躍する八村塁もいた。納見はフォワードの八村とともにチームをけん引する存在だった。

明成高には当時、納見や八村以外にも有望な選手がそろっていた。全員が変則的な相手オフェンスに難なく対応し、どの位置からでも3点シュートが打てる。そんな中でも、ひときわ安定感あるプレーを見せていたのが納見だった。高いゲームコントロール能力と安定したシュート力を併せ持ち、ウインターカップでは2年連続で大会ベスト5を受賞した。
ただ、頼りになる存在だからこそ、納見と八村に対する監督からの指導は特に厳しかった。「求められる量と質は高かったが、それが逆に今の自分を作り出した」。負けず嫌いの性格も相まって、求められることにはとことん応えようと奮起する中で、納見はその存在感を高めていった。...