全国の鉄道ファンを呼び込もうと、一畑電車(出雲市平田町)が8月、営業列車が走る本線を開放して電車の運転体験イベントを始める。最終電車発車後の夜間に松江しんじ湖温泉駅(松江市中原町)を出発し、同駅から約200メートル区間を往復する内容で、本線上での体験運転は全国の鉄道会社で初めての試みという。鉄道ファンを集めて、利用者の拡大につなげる。
鉄道事業法では、本線上の電車を運転するには専用の免許を取得する必要がある。このため、各地の鉄道会社などが催す運転体験は、営業列車が走らない車庫内や廃止になった路線などでの走行に限られている。一畑電車は今回、国土交通省の了承を得て、最終電車が発車後、車両の進入を止める措置を取ることで本線上で体験運行できるようにした。
8月下旬以降(冬季を除く)の毎月1回、午後10時から約2時間実施する計画。営業用の電車を使用するため、運転する車両形式は当日の運行状況によって変わる。一畑の運転手が付き添い、途中で信号機の確認や線路が分岐するポイント上の走行も体験できる。
申し込みには雲州平田駅(出雲市平田町)の車庫で実施する運転体験への参加が必要で、定員は1日当たり6人を想定している。
参加費などは近日中に発表する予定で、一畑電車の石飛貴之常務執行役員は「人口減少で全国の地方鉄道が苦しい状況にある中、多くの鉄道ファンを呼び込み、盛り上げたい」と話した。
(石倉俊直)