―2023年度は一畑百貨店の閉店、一畑バスの減便など難しい判断が多い年でした。

新型コロナウイルス禍に入ってから百貨店は厳しい状況が続いていました。存続したいと検討しましたが結果的に閉店を決断しました。コロナ禍で電鉄の中期計画を見直し、24年度までに構造改革をする方針です。中長期的な事業の維持を考慮した過程での決断となりました。

一畑百貨店跡の利用策については、賃貸と売却の両面で交渉を続けています。 

 

―難しい判断をする際、「これだけは守らなければ」といった判断軸は何でしたか。

通勤・通学の足を担う交通事業はわれわれの社会的使命であり、安心・安全を確保しながら継続しなければならないと考えています。

こちらの勝手な判断で減便や廃止をする訳にはいきません。適切な方法について行政とともに協議を続けていきます。
 

 

―コロナ禍の影響が和らぎ、人流が戻っています。新年度の交通・観光事業の展望は。

旅行やホテル、フォーゲルパークなど観光部門の需要が大きく戻っています。交通部門では観光客の利用をいかに促せるかが生き残り策のかぎになります。

例えば一畑電車の人気事業「体験運転」の距離を延伸したり、昔ながらの鉄道の景観を維持したり、縁が深い県外の私鉄との連携を深めて相互誘客を進めたりすることで、需要をさらに伸ばせると考えています。 

 

―働き方改革にも熱心に取り組んでおられます。

人手不足が続く中、長く働いてもらえるように社員のライフステージの中で、家庭と仕事との両立が難しい時期をサポートできる仕組み作りを進めています。

子育て世代はもちろんですが、親の介護が必要な年代のケアも必要です。デイサービスから帰宅した親族のケアが必要な社員が柔軟に働けるシフトを組んだり、コロナ禍で導入したテレワークを継続したりするなど、必要な対策を講じていくつもりです。
 

 

若いうちは無理をしてでも広い世界を見ておくことが大切だと思っています。積極的に海外に足を運び、さまざまな体験をして、知見や学びを広げてほしいです。

当社は島根県東部を拠点とした交通と観光の2本柱で地域を盛り上げようと日々取り組んでいます。

ぜひとも、学生時代に得た貴重な経験を島根に還元してください!

 

 

足達明彦=鳥取県出身(63歳) 2019年6月に現職に就任。

とにかく旅行が好きで、基本的に家にはおりません。若いときから暇さえあれば行ったことのない場所に足を運びました。

海外ではアジア圏を中心にコロナ禍前は年2、3回旅行するのが恒例で、国内では岩手、福井両県を除く45都道府県を訪れました。

近々、全都道府県を制覇したいと考えています。

一畑電気鉄道(株)HP