ICT機器を取り入れている事業所には「若い人材が集まってきている」と話す高野龍昭氏=安来市飯島町、アルテピア
ICT機器を取り入れている事業所には「若い人材が集まってきている」と話す高野龍昭氏=安来市飯島町、アルテピア

 少子高齢化時代の介護などについて考える講演会が4日、安来市内であった。島根県吉賀町生まれ、益田市育ちで、東洋大福祉社会デザイン学部教授の高野龍昭氏が、介護業界における若年層の人材確保でポイントの一つになるのは、ICT(情報通信技術)の導入だと説いた。

 安来地域介護保険サービス事業者連絡会(会長・杉原建昌林会理事長)が主催し、約250人が聴いた。

 高野氏は、ICT機器などが導入され始めている介護現場について、「『きつい』『汚い』がかなり変わってきている」と説明した。

 その上で、排尿、排便が自動通知される機器によりおむつの中を確認しなくても排せつの有無が分かる機器などが、職員の負担軽減につながっている事例を紹介し「こういう技術を導入している事業所には若い人材が集まってきている」とした。

 推計によると安来市の場合、2020年と比べて50年は、75歳以上の後期高齢者が減少する局面に入るものの、15~64歳の生産年齢人口が約半分になる。高野氏はこれらのデータを踏まえ、介護職は、若年層が地域にとどまるための重要な受け皿であり、仕事として選んでもらうために一層の取り組みの推進が必要と説いた。

(狩野樹理)