救助され、毛布にくるまる船員たち=8日午後7時50分ごろ、浜田市瀬戸ケ島町、浜田漁港
救助され、毛布にくるまる船員たち=8日午後7時50分ごろ、浜田市瀬戸ケ島町、浜田漁港
救助され、毛布にくるまる船員たち=8日午後7時50分ごろ、浜田市瀬戸ケ島町、浜田漁港

 8日午後6時20分ごろ、浜田市瀬戸ケ島町の馬島灯台から北北西約21キロの日本海で、JFしまね浜田支所所属の中型巻き網漁船「第1吉勝丸」(湯谷一真船長、19トン)が転覆したと、僚船が118番した。乗組員11人全員が海中に転落したが、僚船に救助され、命に別条はない。1人が海に落ちた際、背中を打つなどのけがをした。

 浜田海上保安部によると、第1吉勝丸は灯船2隻と共に8日出港。事故が発生した当時は操業中ではなく、漁場に向かっている途中だった。

 海域の天候は晴れで、北東の風10メートル、波の高さが2メートル程度あった。

 乗組員の一人は山陰中央新報社の取材に対し「突然船が面かじ側(右側)に傾いた。転覆するかもしれないと思い、甲板に出た。浮きを持って海に飛び込んだ。波をくらったのかもしれない」と話した。同海上保安部は9日以降、乗組員から詳しく事情を聴き、事故原因の本格調査を始める。

 (陶山貴史、勝部浩文) 「すぐに救助に来るはずだ」|。

 浜田市沖の日本海で中型巻き網漁船「第1吉勝丸」が転覆した事故。乗組員11人は仲間を信じて冷たい海の中で助けを待ち、惨事を免れた。

 転覆当時は操業していなかった。船内にいた機関長の川端祐人さん(33)は、船が傾くと甲板に出て、浮きを手に海に飛び込んだ。傾いてから転覆までは10分程度。沈む船に巻き込まれる恐れがあり、「危ないかもと思った」と、命の危険が一瞬、頭をよぎった。

 海中で約1時間、助けを待った。仲間の存在が励みだった。「救助に来てくれるのは分かっていたので、声を掛け合ってひたすら頑張った」と振り返った。

 通報から約1時間20分後の午後7時40分ごろ、船員を乗せた船2隻が浜田漁港(浜田市瀬戸ケ島町)に入った。

 船員たちが姿を見せると、待ち構えていた浜田市消防本部の救急隊員や浜田海上保安部の職員が体調を確認した。船員たちは毛布にくるまり、体を震わせながらもしっかりとした足取りで乗組員が所属する吉勝漁業(同)に入った。

 陸に上がり、ほっとしたのだろうか。携帯電話で話していた男性乗組員は「もう死んだかと思うたよ。家族の顔が浮かんだ」と漏らした。

 第1吉勝丸と一緒に漁に出た船の船長を務める藤原一博さん(53)は、「30年以上、漁をしているが、こんなことは初めて。一時はどうなるかと思っていたが、全員救助されてほっとした」と話した。

 (三浦純一、勝部浩文)