前島根県知事の溝口善兵衛(みぞぐち・ぜんべえ)氏が死去したことが23日、分かった。78歳。益田市出身で東京都在住。県などによると、20日午前11時20分、老衰のため都内で亡くなった。葬儀は27日に都内で、近親者のみで執り行う。
溝口氏は益田高、東京大経済学部を卒業後、1968年に大蔵省(現・財務省)に入省。国際局長や財務官などを歴任した。国際金融情報センター理事長を経て、2007年4月の知事選で自民、公明両党の推薦を受けて初当選し、11年、15年も両党の推薦を受けて当選した。
3期目の17年に食道がんが見つかり、19年4月に退任した。退任後は都内で暮らしていた。
円高阻止のため大規模な円売り、ドル買い介入を行って「ミスター・ドル」の異名をとった財務省財務官時代などに培った人脈を生かし、就任直後の石見銀山遺跡(大田市)の世界遺産登録や国からの予算獲得などに尽力。県財政の収支改善に向け、事務事業の見直しや予算執行の節減など財政健全化を進めた。
観光振興にも力を入れ、10年度から4年間、出雲大社(出雲市)の大遷宮に合わせ、大型観光キャンペーン「神々の国しまねプロジェクト」を展開し、神話博しまねを開催した。
1期目の11年に起きた東京電力福島第1原発事故を受け、全国に先駆けて広域避難計画を策定。中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)1号機の廃炉、2、3号機の国への審査申請を容認した。
2期目の14年は県人口が70万人を割り、人口減少対策が最重要課題となる中、3期目の15年に各種施策を盛り込んだ「県版総合戦略」を策定。3歳未満の第1、2子の保育料軽減や中山間地域・離島対策などに取り組んだ。
(中山竜一、曽田元気)
敬意と感謝
丸山達也島根県知事の話 突然の訃報に接し、ただただ驚いている。3期12年の長きにわたり、島根県の発展のために尽力された。多大な尽力と功績に、深甚なる敬意と感謝の意を表するとともに、謹んで哀悼の意を表する。