島根県の丸山達也知事が10日の定例会見で、衆院選(15日公示、27日投開票)に向けて与野党が訴える「最低賃金1500円」の公約に対し、目指す方向は正しいとした上で、引き上げの原資は中小企業の経営者が負担すると指摘し、「政治の公約としては恥ずかしい。他人のふんどしで相撲を取る政策だ」と批判した。
最低賃金を巡っては、自民党総裁の石破茂首相は2020年代に全国平均1500円とする目標を示し、9日の会見では実現に向けて生産性向上や下請法改正に取り組む考えを明らかにした。公明、立憲民主党なども1500円の公約を掲げている。
会見で丸山知事は、自民派閥の裏金事件を巡る公認問題に関心が集まる中、衆院選で各党が政策論争を繰り広げることを期待。その上で、中小企業の設備投資の成果が大企業に吸い取られるなど不平等な取引関係を改める必要があると訴えた。
各党に対して「引き上げるための具体的な道筋を示してほしい」と求め、「大企業の嫌がることに踏み出すと、大企業に滞留する過剰な利益が社会に回っていく」と主張し、具体策として独禁法や下請法の改正を例示した。
丸山知事は立候補予定者の陣営から衆院選での応援演説の依頼があったものの、特定の政党や候補者を応援しない考えも示した。公示日は徳島県である中四国サミットに参加する。
(曽田元気)