挑戦することの大切さを伝える田中陽希さん=雲南市木次町里方、チェリヴァホール
挑戦することの大切さを伝える田中陽希さん=雲南市木次町里方、チェリヴァホール

 人力のみで全国三百名山を踏破したプロアドベンチャーレーサーの田中陽希さん(41)=群馬県沼田市在住=が26日、雲南市木次町里方のチェリヴァホールで講演した。山陰両県の山に登った際の体験も振り返りながら、聴衆約450人に挑戦することの大切さを伝えた。

 田中さんは大学卒業後、大自然を舞台に登山道のない山や狭い洞窟、ピラニアがいる川などをチームで進むアドベンチャーレースに出合い、のめり込んだ。

 2014年には徒歩とカヤックなど人力のみで移動し、日本百名山を登頂。その後、二百名山踏破を経て、18年には集大成として三百名山に挑戦。約3年7カ月かけて達成した。

 残雪期の北海道日高山脈の登頂時は、滑落の危険がある道を、40キロを超える荷物を背負って進んだといい、「一歩たりとも集中をおろそかにしたら、ここに立っていない」と振り返った。

 田中さんにとって挑戦とは「未体験な世界」とし、興味が湧くことが見つかれば、失敗を恐れずに「今できる一歩を踏んでみたら良い」と呼びかけた。

 このほか、記憶に残る山として中国地方最高峰の大山を挙げ、地元の住民が「さん付け」で呼ぶことや、手を合わせる姿が印象的だったと振り返った。大田市の三瓶山麓の宿に宿泊中に地震に遭遇したエピソードも話した。

 講演会は登山グループ「島根尖峰(せんぽう)会」が設立10周年を記念して企画した。(山本泰平)