無数の赤い糸が温かい雨のように降り注いでいる。その中で数え切れないほどの手紙が舞い上がり、輪を描き始める。

 8月下旬、美術館のがらんとした展示室で美術家の塩田千春(52)は高所作業車の上にいた。手には赤い糸と、1500通超のメッセージ。人それぞれに感じる「つながり」が言葉や絵の便りになり、ここに届いた。「一通一通がその人の人生。人のつながりを表す赤い糸でつなぎたかった」

手紙が舞う

 大阪中之島美術館で9月、大規模個展「つながる私(アイ...