【邑南】島根県邑南町下田所、田所公民館で1日、鎌倉から安土桃山時代の邑南町域の歴史史料をまとめた「中世邑南町域関係史料集」の発刊記念講演会があった。編集を担当した島根大名誉教授の井上寛司さん(83)らが、町の歴史の特徴を紹介した。
井上さんは町は当時、備後、安芸、石見の境界領域に位置し「軍勢の中継基地などとして機能し、当時の中国地方全域を理解する上で重要な位置にあった」と強調した。
賀茂神社(邑南町中野)にはかつて三重塔があり、大日如来像が本尊として祭られていたことを紹介。「神社の境内に仏像があるという中世の神仏習合の特徴を表している」と歴史的な意義を語った。
同史料集は史料約700点を参考に編集し、町教育委員会が10月に発刊した。講演会は町の歴史に関心を持ってもらおうと、同町教委が主催した。
山口市から訪れた公務員、清水美里さん(31)は「自分には読めない昔の文献について講演してもらえると、町の知らない歴史が多く分かってありがたい」と話した。(吉野仁士)