阪神大震災の発生から30年を前に、大規模地震を想定した大田署の指揮機能の移転訓練が16日、大田市内であった。広域災害時に重要な情報の集約や命令系統の空白時間を防ぐため、訓練は必要な資機材や人員を速やかに移動する内容で、緊急事態に備えた。
地震にともなう火災で通常は大田署(大田市長久町)に置く指揮機能を、23キロ離れた温泉津広域交番(同市温泉津町小浜)に移転する想定で実施した。
署員9人が大田署で災害時に備える無線機器、固定電話の端末、衛星電話などの通信機器のほか、ビニール製のホワイトシートや食料、毛布など20点を車両3台で持ち出した。温泉津広域交番に着くと機器を素早く設置し、移転開始から45分で指揮に必要な通信環境を確保した。
阪神大震災では、島根県警も現地に多くの警察官を派遣したが、30年が経過し、当時を知る経験者は少なくなっている。同署警備課の山田直実課長は「日頃の資機材点検や訓練が大切で、スキルアップを図りたい」と話した。
(勝部浩文)