日本画の大家・平山郁夫さん(1930~2009年)の作品展「平山郁夫 未来へのキャラバン-シルクロードから日本、そして出雲へ-」(島根県立美術館、山陰中央新報社など主催)が17日、松江市袖師町の島根県立美術館で始まった。山陰初公開の作品やシルクロード各地の収蔵品計113点が並び、生涯を懸けて追い求めた壮大なスケールの創作の一端が感じ取れる。3月10日まで。
広島県出身の平山さんは被爆を体験し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)親善大使としてバーミヤンの遺跡といった文化遺産の保存に尽力した。
展示は、仏教を題材に描いたシルクロードシリーズなどの作品群▽収集したシルクロードの遺宝▽出雲地方をはじめ、日本各地を巡り描いた素描や水彩画-の3部で構成する。
砂漠のキャラバン隊を大胆に配置した代表作「パルミラ遺跡を行く」は、朝と夜の場面が2枚一対で、共に縦約1・7メートル、横約3・6メートルの大作。オレンジ色と群青色を対比させ、在りし日のオアシス都市の優美な姿を落とし込んだ。
平山さんは島根も複数回訪れており、出雲大社や日御碕神社などを題材にした作品を残した。晩年に発表した「八雲立つ 出雲路古代幻想」(縦1・7メートル、横5・5メートル)は雲南市加茂町で取材を重ね、雄大な雲海を目にした感動を表現している。松江市美保関町森山の須田守さん(81)は「大作のスケール感に圧倒された」と話した。
平山郁夫シルクロード美術館(山梨県)の平山東子館長は「ご当地で出雲地方の作品を見てもらえるのは非常にうれしい」と述べた。18日午後2時から平山館長の講演会が同館である。
入場料は一般1600円、大学生1360円、小中高生700円。火曜日休館(2月11日は開館)。(白築昂)