入江聖奈選手の勝利に涙ぐむ岡本香織店長=米子市末広町、米子コンベンションセンター
入江聖奈選手の勝利に涙ぐむ岡本香織店長=米子市末広町、米子コンベンションセンター

 「聖奈ちゃんに『ありがとう』と伝えたい」。入江聖奈が競技人生を歩んだシュガーナックルボクシングジム(米子市久米町)で、背中を見つめていたのが店長の岡本香織さん(39)だ。東京での快進撃は、ジムで後に続く子どもたちの希望そのものだ。

 10年前にジムでの勤務を始めた時、既に入門していた入江に抱いた印象は「おとなしい、恥ずかしがり屋の女の子」だった。

 ただ、一緒に練習する男子がジムの伊田武志会長(55)の助言を聞き流すこともある中、入江は言葉をノートに書き留めて何度も見返していた。

 「頭を使って考えながら努力を積み重ねたことが強さの秘訣」と岡本さんは考えている。

 入江ら所属選手がジュニアの大会で優勝すると、新聞社に売り込む伊田会長の姿勢に最初は疑問を感じていたが、徐々に意図が分かった。記事を読むと選手の目つきが変わった。

 「自分は強い」。入江も記事に載る度に、自信に変えていった。

 準決勝は、米子コンベンションセンターの特設会場で、入江が好きなカエルのキャラクターが描かれたうちわを握りしめ、勝利を祈った。東京五輪の開催が決まった8年前から「金メダルを取る」と繰り返すのをそばで聞き続けた。

 「夢は叶うものだと、後輩たちに教えてくれた。コロナ(の状況)じゃなければ抱きしめてあげたい」と岡本さん。あと1戦、一番輝くメダルを懸ける姿を目に焼き付けるつもりだ。 (岩垣梨花)