小泉八雲と震災の関わりについて話す宮沢文雄講師=松江市西川津町、島根大学
小泉八雲と震災の関わりについて話す宮沢文雄講師=松江市西川津町、島根大学

 松江市西川津町、島根大学で22日、山陰研究交流会があり、法文学部の宮沢文雄講師(43)=アメリカ文学=が「小泉八雲と震災」をテーマに講演した。

 宮沢講師は小泉八雲と震災の関わりを紹介した。神戸時代に新聞記者をしていた八雲は「地震と国民性」というエッセーを執筆した。エッセーの中で地震の多い地域に住む日本人は環境に適応し、忍耐力や根気のある国民性を取得したと記している。

 1896年6月の明治三陸地震の半年後、江戸時代に起きた安政南海地震を原作にした「生き神様」を執筆した。収穫した稲の束に火を付けて津波から村人を救った庄屋の物語で、八雲は世界に「TSUNAMI」という言葉を広めたという。

 2011年の東日本大震災では、被災地で霊を見た人たちが増え、霊体験をまとめた本も出版されている。宮沢講師は「幽霊や怪奇を書いた小泉八雲の文学と震災がつながる」と八雲の作品と震災の関わりを説明した。

 島根大学法文学部山陰研究センターが主催し、オンラインで学生や市民など約20人が聞いた。(林李奈)