女子フェザー級準決勝で、入江聖奈(日体大)が、アーティングストール(英国)に3―2で判定勝ちし、銀メダル以上が確定した。8月3日の決勝で2019年世界選手権覇者のペテシオ(フィリピン)と対戦する。
男子フライ級2回戦では田中亮明(岐阜・中京高教)が16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの胡建関(中国)に3―1で判定勝ちし、準々決勝に進んだ。3位決定戦がないため、次戦に勝てばメダルが確定する。
一問一答「ここまで来たら金」
ボクシング女子フェザー級で銀メダル以上を確定させた入江は決勝へ闘志を燃やした。
―判定を待っている間は。
「期待して負けたらすごく悲しいので、負けただろうなと思って待っていた。(アナウンスに)呼ばれてうれしかった」
―3ラウンド目に意識したことは。
「負けたら一生後悔するだろうなと思って、気持ちで頑張った」
―決勝に行ける。
「金メダルを公言していたが、取れる自信はあまりなかった。でも(決勝に)行けるので、ここまで来たら金メダルを取りたい」
―金を取らないと意味がないと思っている。
「プレッシャーをかける意味ではないが、並木さんと一緒に取りたい。2人で歴史の扉を開けたいし、女子全員で目指したい」
―決勝への抱負は。
「相手のパンチはとても強いので、もらわないようにしたい。だが、後手後手になるのではなく『倒してやるぞ』くらいの強い気持ちで、右ストレートを打ち込んでいきたい」
■ひるまず的確にカウンター
夢にまで見た「女王」の座に王手をかけた。入江聖奈が2019年の世界選手権3位の強打にひるむことなく、的確にカウンターを狙い審判員の支持を獲得。僅差での勝利が決まると、リング上で両手を挙げて飛び跳ね、喜びを爆発させた。
1回は軽快なステップで攻撃をかわしながらワンツーをヒットさせて5|0でリード。2回は相手の左ストレートに苦しみ1|4とリードを許し、3回は「ここで負けたら自分、一生後悔するな」と強い気持ちで臨んだ。
2回のような一方的なリードを許せば、判定負けする可能性もあったが、審判員にアピールしようとカウンターを打ち続けたことが功を奏し、2|3でしのいだ。
「柔道に比べて知られていないので、有名にしたい」という女子ボクシングは、入江の活躍で注目度が高まり、試合後に詰めかけた取材陣は1回戦の4~5人から倍以上に増えた。
次は泣いても笑っても東京五輪最後の試合。「倒してやるという強い気持ちで右ストレートを打ち込んでやる」。20歳のファイターは自らのパンチで女子ボクシングの未来を切り開くつもりだ。
(藤原康平)