特殊詐欺被害を防ぐための講座で、寸劇によって手口を伝える住民劇団のメンバー=2024年12月11日、松江市玉湯町
特殊詐欺被害を防ぐための講座で、寸劇によって手口を伝える住民劇団のメンバー=2024年12月11日、松江市玉湯町

 このところの事件や芸能界の出来事を見聞きするにつけ、つくづく裏切りの多い世の中だと辟(へき)易(えき)する。大手銀行の東京都内の支店で貸金庫から顧客の金塊を盗んだとして、元行員が窃盗容疑で逮捕された事件。顧客や銀行に対する背信で、営業時間内にも盗んでいたとみられるとは、驚くばかりだ。

 自民党派閥の裏金事件、自動車メーカーの認証不正…。度々、大きな話題になる芸能人やスポーツ選手の不祥事や醜聞もファンへの裏切りといえるだろう。中には子どもたちに親しまれている人も。社会的に影響力がある立場だけに、自分の行動を律してほしい。

 昨年3月には、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が信頼していた元通訳による事件が発覚。大きな衝撃を与えた。影響が心配された大谷選手だったが、記録ずくめの大活躍でワールドシリーズ制覇に貢献。ファンの不安を吹き飛ばしてくれた。

 言葉巧みに信じ込ませてだますという点では、詐欺は裏切りありきの犯罪だ。島根、鳥取両県でも交流サイト(SNS)型投資・ロマンス詐欺、特殊詐欺の被害が後を絶たない。2024年は、両県でこれらの詐欺の被害額が14億6千万円余りに上ったという。

 関わりのない人の不祥事は止められないが、自分に忍び寄る詐欺には注意ができる。甘い話には乗らず、不審な電話があれば一人で考えずに相談することだ。後悔しないよう毅然(きぜん)と対応したい。(彦)