「鶴瓶の家族に乾杯」をはじめ、人気番組を手がけてきた山名啓雄(ひろお)さん(58)は現在、NHKの専務理事・メディア総局長という要職にある。公共放送の番組全体を統括する立場だ。番組作りの面白さから、インターネット時代の公共放送の在り方まで、幅広く尋ねてみた。(共同通信編集委員・原真)
▽物理学研究からテレビに方向転換
1966年に東京で生まれた山名さんは、「テレビっ子」を自認する。ラジオの深夜放送も、よく聴いていた。東京大で物理学を専攻し、大学院進学が決まっていたが、「本当に、このまま研究の道に入るのがいいのか」と迷う。就職も考え始めたとき、頭に浮かんだのはテレビ局だった。
「テレビジョンは『遠眼鏡』という意味で、報道と娯楽という二つの役割...