娘と娘婿の写真を見詰める遺族の女性=雲南市木次町里方、雲南市役所
娘と娘婿の写真を見詰める遺族の女性=雲南市木次町里方、雲南市役所

 自ら命を絶った人の家族の自助グループ「しまね分かち合いの会・虹」が企画したパネル展が25日、雲南市役所で始まった。メンバーが遺書や写真、メッセージなどを寄せ、亡くなった人の思いや残された家族の悲しみを伝えている。3月6日まで。無料。

 ある女性は15年前に娘婿と、後追いで娘を亡くした。「娘を1日も忘れたことはない。つらい思いをする遺族を増やさないように」と2人の写真と娘の遺書、自身の手記を並べた。

 娘が亡くなる当日、電話での受け答えに違和感を抱いたが「後追い」という考えがなく、会話を続けずに電話を切ったという。数時間後、かけ直した電話に娘は出なかった。「あの時、娘を迎えに行っていれば…」と涙ながらに話した。

 グループは2008年に発足し、定期的に遺族の集いを開いている。展示は自死対策強化月間(3月)に合わせて企画した。

 桑原正好(しょうこ)代表(74)=出雲市西代町=は「自死問題を人ごとと思わずに、身近な問題だという気付きを得てほしい」と話した。

 3月1日午後1~4時、雲南市木次町里方のチェリヴァホールで「しまね自死遺族フォーラム」を開く。講演や遺族の体験発表などがある。問い合わせは桑原代表、電話090(4692)5960。

(山本泰平)