育児語の方言を解説する土居裕美子教授=倉吉市駄経寺町、エースパック未来中心
育児語の方言を解説する土居裕美子教授=倉吉市駄経寺町、エースパック未来中心

 鳥取看護大の土居裕美子教授(日本語史)がこのほど、倉吉市内で大人が幼児に使う「育児語」の方言について講演した。育児語は幼児を言語の世界に導く大事な言葉で「幼少期の思い出につながるのが方言の面白さだ」と説いた。

 講演によると、育児語は幼児が発する「幼児語」とは違う。幼児は育児語をまねながら言葉を覚える。「ガンジガンジかむ」「チュルチュル」(麺類)「ワンワン」(犬)のように反復や擬音語・擬態語が多く、幼児が発音しやすく意味が分かりやすいという。

 「魚」を表す育児語は鳥取県西部や島根県、広島県で「タイタイ」、鳥取県東部や岡山県で「トト」という。倉吉など鳥取県中部は「ブーワー」で「中部に燦然(さんぜん)と輝く方言だ」と強調し「水」を表す「ブー」との関連を示唆した。

 「ブー」のほか「ボチャしようか」(風呂に入ろうか)「べべ」(服)は、江戸時代の式亭三馬の滑稽本「浮世風呂」に同様な育児語が出ることも紹介した。

 講演会は倉吉ことばの会(桑本裕二代表)の第15回例会。約40人が聴いた。(桝井映志)