―幅広い企業の管理業務を担う上で心がけている点はありますか。
細かい手続きでも喜んでもらいたいという思いで、丁寧にやっています。事務的にこなすのではなく、ヒアリングに力を入れ、相手の立場に立つよう意識しています。特に、会社にとってネガティブなことを伝えなければならないときは、思いやりを持った対応を心がけています。

―企業の人手不足に関する相談にはどのように対応していますか。
多くの高齢者や女性がすでに働いている島根県内での人手不足対策は、設備投資、外国人雇用、現状の従業員のつなぎ留めと言われています。そして、企業の工夫次第で取り組めるのはつなぎ留めです。従業員に「他の会社に転職しなくてもいい」と思ってもらえるような労務管理を支援するのが私たちの役割です。例えば無給休暇を有給休暇にしたり、フレックスタイムや在宅勤務制、副業の推奨など、どうすれば働きやすい企業になるのか、ワーク・ライフ・バランスを重視した助言をしています。

―その中でも、4月に施行される改正育児・介護休業法の浸透に力を入れています。
多くの従業員が育児や介護など家庭の事情を抱えている中で働いており、労働だけのために生活しているわけではありません。そのため、仕事と家庭を両立する「両立支援」という言葉を職場に落とし込み、スムーズな運用ができるようにしたいと思っています。一方、助け合いや感謝が日常化することも必要です。職場の良好な人間関係の構築は、日々努力がいることですが、両立支援を有意義なものにするには欠かせません。

―両立支援制度充実の意義は。
両立支援を手厚くすると、会社が損をするのではないかと不安に感じている企業もあると思います。しかし、義務ではなく、人事戦略として捉え、採用を優位にすることも可能です。時代や価値観の変化に対応できる労務戦略を基に、個人も組織も成長できる企業になれるよう応援していきます。

 

“安定”を求めてもそれは一生安泰を約束するものではありません。どんな資格や技術をもっていても、一生安泰を約束するものではありません。でも、資格取得や新たな技能習得にチャレンジする気持ちや行動力は、どんな時代にもアドバンテージになると思います。

門永真理子 島根県松江市出身 2003年社会保険労務士事務所開業。
行政書士、総務のアウトソーシング会社を経営。最近、難しい本を読んで頭を使うようにしています。内容はなかなか頭に入ってきませんが、習慣になるまで頑張ろうと思っています。