―「遠赤エコセラ」の技術を生かした商品の販路が広がっています。
研究に着手して10年。断熱や遠赤外線放出効果がある10~50㍈のセラミックビーズを含む特殊塗料を素材にコーティングする技術を生み出しました。塗料に含まれる二酸化チタンの光触媒の働きでウイルスや細菌の分解を進めます。商品化につながる特許を4件、実用新案権を1件取得しています。保温と除菌機能を持つ「ふしぎ靴中敷」、「においとれ~る」、「ふしぎ腹・腰ベルト」などの独自商品が、次々と生まれています。

全国のシャディ提携店に島根の食材を生かした商品を卸す会社を運営する中で、島根発のものづくりに興味を持ったのが開発の出発点です。

―病院内のウイルス感染防止を目指して開発した「遠赤エコセラハニカム空気清浄機」が注目を集めています。
フィルターで空気中のものを吸着する通常タイプと違い、独自開発した「ハニカム基材」の中を通してウイルスや細菌、悪臭成分を不活化するのが特徴です。ハニカム基材を定期交換するレンタル式を採用し、病院をはじめホテルや料飲店、一般家庭でも利用されています。
 

 

―今後の展開は。
鶏舎内の消臭、抗ウイルス効果を持たせた、塗料や内装接着剤用の添加剤「エコセラチタン」を発売します。高病原性鳥インフルエンザが発生すると大量の鶏を処分しなければならず、費用も膨大です。島根県外の研究機関や畜舎施工業者と知見を重ねてきました。ハニカム基材と送風装置を一体化した畜舎の抗菌、消臭システムの研究開発も進めています。船底へのフジツボ付着を軽減する「エコセラチタンマリン」も発売予定です。人体への安全性や効果について外部機関の試験で確認しながら、早期に抗菌製品技術協議会(SIAA)が認証する「SIAAマーク」の取得を目指します。

―87歳になってなお、新たな商品アイデアを生み出される原動力は。
仕事を楽しむことです。新しいアイデアを思いついた時が次のスタートラインだと思っています。
 

 

仕事をする上で目標を持つことは大切です。ですが、最初から大きな目標を目指す必要はありません。中長期の目標を立てたら「自分との約束事」として守ること。小さな目標が達成できたら、次第に大きな目標が見えてきます。仕事だけでなく、日常生活でも同じことが言えるでしょう。

1971年、シャディこばやしの前身に当たる小林ギフトを開業。88年に島根の食材を使った加工食品などを手掛ける、グループ会社のギムティーを設立。2015年から「遠赤エコセラ」の技術研究を始め、21年に遠赤エコセラ研究所を設立。87歳の今でも、自らハンドルを握って近隣県へ営業に出掛けるなど、行動力あふれる姿で全国を駆け回っている。