
―2023年7月に着任し、間もなく2年になります。島根県で通信事業を積極的に展開しています。
近年は工場の新設や増設が局所的に相次ぐほか、祭りやイベントに訪れる方が増えており、流動的な人の動きへの柔軟な対策が必要になっています。人の集まり方を予測し、通信量の増加が見込まれるエリアに一時的または恒久的に基地局を設置するほか、キャッシュレス決済の使えるお店を増やすなどの対策を打っています。
―企業活動のPRにも注力しています。
近年は県内の各自治体が子育てしやすい環境づくりに力を入れています。家族客の増加を見据え、いずも産業未来博で子ども向けプログラミング教室を開いたり、衛星アンテナを搭載した移動基地局車を紹介したりするなど、幅広い層に企業の取り組みを理解してもらえるようにしています。

―24年7月の大雨で出雲市大社町日御碕地区が一時孤立状態になりました。災害に備えた準備も必要になっています。
半島部や山間地域が多い県内は陸路が絶たれたときに備え、宇宙や海を活用した通信手段の確保が有効です。例えば能登半島地震では船舶にアンテナを搭載した船上基地局を運用しました。日御碕地区の災害時は二次災害に備え、人工衛星を介して高速データ通信ができる可搬型の機材を、自治体と連携して配備しました。毎年災害があり、多面的に備える重要性を感じました。
―デジタル技術は地域活性化に欠かせません。
地域間のデジタル格差解消は、よい暮らしやまちづくりに必要です。情報リテラシーの向上を目指して住民向けのスマホ教室を開く一方、自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)人材育成のお手伝いをしています。暮らしの利便性を高めて地域を活性化させるには、官民学が連携して情報通信技術(ICT)を活用する必要があります。これらの取り組みを通じて地域創生に貢献できればと考えています。


生成AIが身近な存在となった今、AIにはできないことを意識し、人間にしかできない価値を創造し実行する力が重要になってきました。
最新技術を使いこなしつつ、人や地域とのつながりから生まれる議論と共感を大事にしながら活躍し続けていただきたいです。
茨木直人=神奈川県鎌倉市出身(51歳)2023年7月に現職に就任。
専門分野は国際事業で、色々な国の通信や関連サービス事業に従事。
自然や子育て環境に恵まれた松江で昨年は第2子が生まれ、仕事と子育てに奮闘中。趣味はテニス、ゴルフ、サイクリングで、島根半島東部ナショナルパークライドや出雲くにびきマラソン大会に参加。
