第三章・家中分裂(5)

 

「滅相もない。内(だい)府(ふ)さまのご恩は片時たりとも忘れたことはございません」

 丹羽長重(ながしげ)が平伏したまま臆(おく)することなく訴えた。

「しかしながら大...