文献調査受け入れへの活動を継続するのかどうかを注視する考えを示す丸山達也知事=松江市殿町、島根県庁
文献調査受け入れへの活動を継続するのかどうかを注視する考えを示す丸山達也知事=松江市殿町、島根県庁

 益田市の経済界有志グループが高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定の第1段階となる「文献調査」に向けた市議会への請願提出を断念したことを巡り、島根県の丸山達也知事が20日の定例会見で「よかったという評価をしていいのか、判然としない」と述べ、請願と違う形で調査の受け入れに向けた動きを継続するのかどうかを注視する考えを示した。

 経済界有志はエネルギー研究会を立ち上げ、文献調査を企業誘致などにつなげようと、早ければ6月市議会で調査への応募を市に働きかけるよう求める請願書の提出を目指していた。一方、同市の山本浩章市長が19日に中心メンバーで松永牧場(益田市種村町)の松永和平社長に全面的に中止するよう「勧告」。松永社長は取材に対し、断念する考えを明らかにした。

 丸山知事は「請願というやり方は考えないが、賛同者を増やすために活動を続けるということか。今回の動きを再燃させる可能性はないのか」と疑問視。青森県六ケ所村にある関連施設の視察といった受け入れに向けた活動をグループとして今後も行うかどうかを注視する考えを示した。山本市長による中止勧告に対しては「大騒ぎになる前に物事を収束させようとすることは市長として責任ある判断だ」と評価した。

 20日に島根県庁で丸山知事と面会した山本市長は面会後の取材に対して「グループから(調査の受け入れに向けた活動を)完全に断念したという確たる答えはまだもらっていない」と説明。今後1週間をめどに中止要求への回答を聞くとともに、県と連携して対応する考えを示した。

 (佐々木一全、曽田元気)