都道府県ごとに決める2021年度の地域別最低賃金の改定額が全都道府県で出そろい、厚生労働省は13日、人口を加味した全国平均額は28円増の時給930円だったと公表した。目安制度が始まって以降最大の引き上げ幅。島根や山形など7県は国の中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)が示した引き上げ目安額の28円を上回る29~32円増だった。残り40都道府県は目安額通りの改定。10月から適用する。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が続く中、消費拡大や経済の底上げのため千円への早期引き上げを目指す菅義偉政権の意向が反映され、各地で経営者側が押し切られる形となった。企業の負担増は避けられず、雇用への影響も懸念される。昨年度は安倍晋三前政権下で雇用維持を優先し、1円増にとどまった。
引き上げ幅は島根の32円が最も大きく、次いで秋田と大分が30円で、青森、山形、鳥取、佐賀が29円だった。改定後の最高額は東京の1041円に対し、最低額は高知と沖縄の820円。初めて全都道府県で時給が800円を超えたが、最高額と最低額の差は昨年度と同じ221円だった。
目安額を上回った7県はいずれも、経済情勢などに応じて都道府県をAからDまで分類した場合に、最低賃金が最も低いDの地域。人手不足や若年層の流出を防ぐためには、コロナ禍でも目安額を超えた引き上げが必要だと判断したという。