昨年の沖縄全戦没者追悼式で「平和の詩」を朗読する仲間友佑さん=2024年6月23日、沖縄県糸満市の平和祈念公園
昨年の沖縄全戦没者追悼式で「平和の詩」を朗読する仲間友佑さん=2024年6月23日、沖縄県糸満市の平和祈念公園

 きょう6月23日は太平洋戦争末期に沖縄であった地上戦で犠牲になった人たちを悼む「沖縄慰霊の日」。糸満市の平和祈念公園で毎年開かれる県主催の戦没者追悼式では、児童生徒の代表が自ら書いた「平和の詩」を朗読している。

 昨年は当時高校3年生だった仲間友佑さんが大役を務めた。平和学習の成果に加え、沖縄戦の情報を独自に収集。学徒動員された少年少女や、集団自決に追い込まれた住民の無念を想像し、限りない平和の実現に向け「僕らが祈りを繋(つな)ぎ続けよう」と呼びかけた。

 沖縄本島とは異なり、生まれ育った宮古島で地上戦は起きず「自分が平和への思いを語っていいのか」と葛藤があったという。それでも詩を書いたのは「怒り」からだ。

 ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザ情勢を伝えるドキュメンタリー番組で負傷した子どもたちの映像を見て「戦争が過去のものでなく、現在も続いているのが悔しくなった」と話した。世界に目を向ければ、紛争は今も続いている。沖縄では台湾有事の懸念も取り沙汰される。決して人ごとではない。

 戦後80年を迎える今年の追悼式では、小学6年生の城間一歩輝(いぶき)さんが「おばあちゃんの歌」と題して朗読する。沖縄戦で負傷し心と体に傷を負った85歳の祖母の体験をもとに命の大切さをつづった。児童の切ない願いに耳を傾け、遠く離れた山陰からも平和の尊さをかみしめたい。(健)