全国で新型コロナウイルス感染が「爆発的拡大」の局面に入った中、鳥取県に続き、島根県でも東、西部で感染が急拡大し、丸山達也知事は、維持してきた入院治療の方針を、宿泊施設・在宅療養を含めたケアに転換した。最前線の医療関係者は、あらためて事態を重く受け止め、予防や行動様式のチェックを求めた。(取材班)
感染者を受け入れる島根県済生会江津総合病院(江津市江津町)の中沢芳夫院長は「一般診療に大きな影響が出ている」と危機感を口にする。12日に、新規の外来診療を制限する対応に踏み切った。不足する看護師らスタッフを、コロナ対策に充てる。
松江、出雲など県東部の市部が中心だった感染者は8月に入って県西部でも71人が感染し、満遍なく広がる様相を呈する。
確保病床数が県東部に比べて少ない県西部では、5月の「第4波」時に益田市内で発生したクラスターで病棟を閉じる医療機関が出るなど、ダメージを受けている。
益田市医師会の松本祐二会長は、流行するデルタ株について「感染力のレベルが違うと認識すべきだ」と指摘。行動範囲が広い現役世代が家庭内に持ち込み、若年層への感染が広がる事態を警戒する。
厚生労働省は18日、山陰両県以外の全国40都道府県で、人口10万人当たりの1週間の新規感染者数がステージ4に入ったと公表。ただ、現場は丸山知事が示したレベル3以上に厳しいとみており、島根県立中央病院の山森祐治副院長は「圏域によってはステージ4の所もある」との見方を示す。
重症化リスクが高い人の入院を優先する島根県が打ち出した方針では、宿泊療養を優先し、さらに自宅療養に振り分ける。健康観察が必要となり、予防だけでなく患者ケアの面でも地域を挙げた総力戦となる。
島根県医師会の森本紀彦会長は「医師会としてできる限りの協力をする」としつつ、ワクチン接種で地域の医師や看護師の手が取られる実態も踏まえ「そこまでの局面(在宅療養)にならないよう、ワクチン接種の促進など予防策の徹底を求めたい」と述べた。