第五章・政重(まさしげ)帰参(14)

 

 散り落ちてくる桜の花びらは、舞い遊ぶ蝶々(ちょうちょう)のようである。利長は腕を伸ばしてつかもうとしたが、花びらは逃げるようにてのひらをすり抜けていく...