島根県隠岐の島町久見で受け継がれる夜通しの神楽で、県指定無形民俗文化財「島後久見神楽」が16日夜から17日早朝まで、同地区の伊勢命神社で奉納された。伝統の16演目が披露され、子どもから高齢者まで幅広い世代が長丁場の舞台を楽しんだ。
島後久見神楽保持者会には高校2年生から81歳まで12人が参加する。16日午後9時半に始まり、「前座七座」と呼ばれる儀式舞で幕開けした。今年は地区の人によって座敷席も設営され、足を伸ばしたり、横になったりして来場者は鑑賞を楽しんだ。
タイを釣る「恵美須」で会場が盛り上がった後、夜も更けると奏楽のリズムを子守歌にしながら子どもたちは眠りについた。その間も鬼が太鼓をたたく「切部」、勇壮な動きを見せる「剣舞」などが続いた。
締めくくりは白装束の女性による「神納め」。夜が明け、最後まで残った観客30人から大きな拍手が送られて終演した。
同町那久路の船員、原優樹さん(20)は「3年ぶりに来た。幼い頃から見てきた神楽が変わりないのがいい」と喜んでいた。
保持者会の岩室裕造会長(61)は「地域の人に支えられて上演できた。継承のため神楽に興味のある人にはぜひ会員になってほしい」と話した。
(鎌田剛)